
悪政 善政 アリストテレス「政治学、経済学」より

「悪政」は上から僭主制、寡頭制、民主制(一人、少数、多数の支配者による悪政)。支配者が手にする袋は財布で私利私欲による悪政を暗示、身に付けている鎧甲、手にしている武器は力による統治を表している。
アリストテレス作 ニコラ・オレーム訳「政治学、経済学」より
1376年頃 写本装飾 22.5×15.2cm
ブリュッセル 王立アルベール1世図書館

「善政」は上から王制、貴族制、国制。善政では支配者の周りの人々が議論しているが、悪政では処刑の場面。オレームは遠い過去の異国の制度や思想を伝えるための努力をしている。
「政治学」8書のうち5書でこれらの6政治体制について論じられる。これら6概念の内4つが造語で、口絵の画像によって理解が進むように工夫をしている。
写本の後半は「経済学」。対になっている「ニコマコス倫理学」がオランダに残され、その記載から1376年に書写されたことがわかる。
世界美術大全集10 ゴシック2 1370年代